電気だからエコなのか
エネルギー効率
日本の電気の80~90%は火力発電によって賄われています。つまり、電気を使用する現場ではCO2は発生しなくとも、電気を造るおおもとでCO2が発生しているのです。
しかも、火力発電に使用するガスや石油などの一次エネルギーの実に63%は、発電の際に失われます。加えて、送電時に5%程度のエネルギーロスが発生します。
一方で、ガスや灯油を直接エネルギーとして使う場合のエネルギー効率は91%です。その際、確かに現場でCO2は発生しますが、果たしてどちらが省エネで環境に優しいといえるのでしょうか。
電力需要のピーク
電力需要量のピークは夏です。冬ではありません。
そして、冬は温暖化と住まいの高気密高断熱化などで、暖房に使われる電力消費量が減少していくと思われます。
一方で、夏は冷房需要が増えることで、電力消費量が増大することが考えられます。
これは、ピーク時の電力需要が増大することを意味します。
ピーク時需要量増大のリスク
冷房も暖房も必要としないような時期は、最も電力需要が少なくなります。
しかし、発電能力は電力需要のピーク時でも供給に支障のでない規模が必要です。
電力は需要と供給が同じ量でなければ周波数に乱れが生じ、大規模停電が起きるリスクが増大します。
つまり、電力需要の最少と最大の差が大きくなればなるほど、一時的に発電あるいは買電を止める必要性に迫られるということなのです。
そして、冷房の需要が高まれば高まるほど、大規模停電の可能性が高くなるということでもあります。
それを防止するために、既に一部の地域では再生可能エネルギーの一時的な稼働停止を求める出力制御が実施されました。
このことは、今後再生可能エネルギーを普及させていくうえで、足かせとなる可能性にもつながるのではないでしょうか。

進む全館空調(全館冷暖房)化
最近の住宅業界は、全館空調、全館冷暖房へと舵をきりつつあります。
私どもも、15年くらい前から全館冷暖房の家づくりに取り組みましたので、その快適性は十二分に理解しているつもりです。
冷房(エアコン)は、ヒートポンプ方式です。そして、ヒートポンプの省エネ性はとても高いレベルにあります。
だからといって、全館で、あるいは各部屋で使用することが、本当に省エネといえるのでしょうか。電気の消費量が増えて当然でしょう。
過去の冷房効率と比較するのではなく、冷房を使わないということをベースに比較するのであれば、いくらヒートポンプのエネルギー効率が高いといっても、いかがなものでしょうか。
環境省も地球温暖化対策のための国民運動「COOL CHOICE」の一環としまして「COOL SHARE」を推奨しています。
そして、前述しましたように、冷房が重大な健康被害にも関連してくるとすれば、しかも、赤ちゃんからお年寄りまで年齢に関係なく関わってきているとすれば、いかがでしょうか。
温室効果ガス削減目標と家庭部門
日本が平成27年7月17日に気候変動枠組条約事務局へ提出した約束草案によりますと、温室効果ガスの削減目標は、2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)となっています。
しかし、家庭部門は大幅な増加傾向にあり、39%もの削減が必要であると示されています。
住宅の高気密高断熱化が進み、更に温暖化の進行も考え合せれば、暖房に関する温室効果ガスの発生量が大幅に増えるとは考えにくいと思うのですが、いかがでしょうか。
更に、照明、給湯器、家電の省エネ性も向上しています。
にもかかわらず、家庭部門の温室効果ガス発生量を押し上げているのは、なんなのでしょうか。
ヒートアイランドを助長
冷房は電気エネルギーを消費して室内機から冷たい空気を出す一方で、室外機から温熱を放出します。つまり、冷房をすればするほど外気を暖めることとなります。
ビルの屋上を見れば、エアコンの室外機だらけです。住宅街を見ても沢山の室外機が設置されています。
そして、これらが冷房運転時に温熱を排出し、ヒートアイランドの一因になっていると指摘されています。
大規模停電のリスク
大規模停電は、火災、落雷、ゲリラ豪雨、鳥の巣、ヘビ、作業ミスなど、様々な要因で発生しています。
そして、いつ、どこで発生しても不思議ではないというのが、実情でしょう。
もし、猛暑日に大規模停電が起こってしまったら、しかも、汗をかけない、あるいはかきにくい人が大勢いたら、どうなってしまうのでしょう。
暖房は、石油ストーブなどの代替方法があります。重ね着をして、寒さを凌ぐことも可能でしょう。
しかし、冷房は電気に替るものがありますか。温暖化はどんどん進行しています。
冷房頼みの暑さ対策には、こんなリスクも隠れています。
環境と家づくり